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町を歩いていると俺そっくりな男がいた。なんと、その上、ハインリヒが連れだっているじゃないか!今日は出かけるといっていたが、誰だよ、そいつ。あ、信じられない!ハインリヒのほうから、笑いかけて話しかけている!!・・・・しばらくこっそり後をつけていいくと、ちょっとこじゃれたオープンカフェにはいっていく・・・・おいおい!道路に面したテラス席になかよく隣り合わせにすわるか・・・?俺は今にもぶちぎれそうになりながら、ぐっと我慢して彼らの様子を窓越しに観察できるカウンターでコーラを頼む。今日は暑いぜ・・・・。口の中の炭酸がシュワシュワ咽喉を刺激しながら通過するのも、いつもなら爽快!と思うのに今日はなんともイライラさせられる。
窓越しの二人は太陽に照らされて何か仲良く話をしている。ときどき俺に似たほうが手をつかって大げさにゼスチャーすれば、ハインリヒが優しい目をして(!)一拍おいてから笑いながら相槌をうつ。太陽の下で笑うハインリヒなんて初めてみた!ハインリヒは顔は笑っていても、いつも苦しそうな顔してるような気がしてまともに顔をみれないんだ。そうか、笑ったらあんなふうな顔になるのか・・・こんどはちゃんと見てみよう。だけど、俺は胸がどうにもむかむかしてきて、腹立ちまぎれに、飲み干したグラスに吐く息を逆流してぶくぶくさせてみた。
俺に似てるあいつは誰だろう、ハインリヒにあんな顔させて一体どういう関係なんだろう? 今日町になんてこなきゃよかった、イワンの新作ゲームのモニターでもしてバイト料もらえばよかった。 フランソワーズとグレートの庭仕事を手伝って、大人の飲茶と内緒といってビールの一本でももらえばよかった。ジェロニモとピュンマとジョーと一緒に修理したドルフィン号の試運転に付き合えばよかった。ストローは端を噛まれてもうぺちゃんこ。氷の解けた、コーラ交じりの甘ったるい生ぬるい水でさえ吸いあがってこない。
明るい場所にいた二人が立ち上がった。どうやら店を出るらしい。慌てて俺も一足先に勘定を払うとまた二人のあとをひっそり追いかけた。
二人は親密ながらも適当な距離をとりつつ、店の窓を冷やかしながらどんどん歩を進めていく。ハインリヒがウインドウショッピングができるなんて初めて知った。四角四面のあいつは買出しにいっても店の見取り図を確認するとメモを片手に他の売り場なんて目もくれずもっとも効率のいいルートで買い物に回るから。
って、この先は!!あの・・・・えっと!だんだん、怪しい看板とか、路地が!! つーかもう、お日様が地平線(といってもビルの稜線なんだが)に、つまり黄昏で!! 蛍光色とかがまぶしくなる時間帯にトツニュウ・・・・・。
なんだよ、ハインリヒあんな堅物の顔をしてて、実はやっぱりそこらのオヤジかよ。俺はおもしろくないぞ!なんで俺も連れていってくれないんだ!未成年だから、あいつはすぐそういって俺をいなすけど、俺が成人になる時なんてないことくぐらい承知のくせに!畜生! にぎやかな裏路地、下手すると客引きのおにーさんに声や腕をかけらてしまうのを、凶悪な目つきで黙らせながら、穏やかでない心中を必死でなだめつつ、ふらふらと目の前の二人だけを追う。
ここを通り過ぎると確か・・・!!マジかよ!!
賑やかな客引きのいるとおりを過ぎればそこにはひっそりとした公園があり、その周りにはこの町特有の、アホらしい名前のついた、お城のような、宿泊休憩施設がたくさん乱立している。
公園の前で二人が立ち止まった。ハインリヒがタバコを取り出したのがみえる。どうやら、公園に灰皿があるのに気がつき、一服していこうということらしい。
こっそり木の陰に隠れて噴水のそばのベンチに腰掛けている二人を伺う。ってなんだよ、それ! ハインリヒが先に火をつけると、俺に似たやつが当然のように、ハインリヒの吸っているタバコから火をもらいうける。実はキスするのか!と思ったのでタバコの煙が2つ上がってちょっとほっとした。
ん?でもやっぱり今キスしなかったか?あれ??
火を消すと、二人は何事もなかったように立ち上がった。とこっちをじっとみてる!まずい見つかったかな・・・?慌てて木陰に身を隠したが遅かったようだ。
「ばればれだよ。」
俺に似たやつがこっちに向かって朗らかに声をかける。
「知らん振りするのに苦労したぜ、坊や。」
ハインリヒが声を・・・・・って、あれ、いつもとハインリヒ声が違う?しゃべり方もなんか・・・ぞんざいだ?
慌てている間に、二人は俺のそばにいて、逃げる隙がない。
「って、なんだい、お前の弟か?初耳だな。」 「違うってハインリヒ・・・きっとこいつ、アレだ。まぁ、いうなれば弟みたいなもんかな。」 「はじめまして、ぼっちゃん。」 「お前、ハインリヒじゃないのか?」
警戒心バリバリ、敵対心バリバリで俺はにらみつける。そんな俺の目線をあっさりいなして、このハインリヒは首をかしげて挑発的に俺を眺めてきやがる。
「あいにくとお前さんのハインリヒじゃねぇなぁ。残念だったな。」 「ずっとつけてくるやつがいるから、からかってやろうとおもったんだけど、君だったとはね〜。もう遅いからお帰り、ここらは危ないから、送ってってやりたいところだけど、おにいさんたちはまだ用が残ってるし。」
そういって俺ににたやつはハインリヒのそっくりさんに意味深な目配せを送る。それに照れるなよおっさん!!
言葉もなく自尊心ともっと深いやわらかいところを傷つけられてにらみつけている俺をあきれたようにため息ついてハインリヒのそっくりさんが低い声でささやいた。
「おまえさんも一緒に楽しむか?」
それって・・・俺だっていい育ちってわけじゃない、そうささやくハインリヒのそっくりさんの言った言葉の意味を正しく理解するほどには人生苦労してきた。いや、それより、みたこともないハインリヒのそんな顔についふらふらっとなってしまったというのが正しいもしれないけど。俺に似たやつはそんなことを言うハインリヒを感情を見せない、うっすら笑いを浮かべてみていた。
(以下、エロシーン有 反転) シャワーを先に浴びて来いといわれて俺は一人、すけすけガラスの向こうでお湯を使っている。改めて状況を把握するととんでもないことに巻き込まれている自覚があった。ともかく俺のしっているハインリヒではないことは確かだったので、いままでもやもやしていた気持ちとそれを自覚して恥ずかしく思うきもちはお湯できれいさっぱりながしてしまう。ガラス越しに俺ににたヤツが俺とちがう、穏やかな声で会話してるのが聞こえる。
「どうするんだよ、ハインリヒ、本気か?」 「別にいいだろう?アレだってお前だ。」 「・・・・・・・僕は僕だ。」 「すねるなよ、ジェット。だって今日は422の日だぜ。」 「・・・・・422の日か、じゃあ、仕方ないな。」 「そうさ・・・・、そろそろ迎えにいってやるか。」 「まったく災難な日だな〜〜〜。」 「そうか??」
二人が近づいてくる気配(つか湯気でくもっているとはいえ、すけすけガラスから向こうが丸みえなんだけど)がして、ガラス戸がためらいなくあけられた。
「邪魔するぜ。」 「いっしょにはいろう。」
きもちいいほどすっぽんぽんの二人が口々にそういうとむやみに広いバスルームに入ってくる。
「きれいになったか?あらってやろうか?」
シャンプーのポンプを押しながら俺にそう聞く。馬鹿にされてるみたいだ。そんな俺の機嫌を俺ににたやつはさりげなく汲み取って、
「ハインリヒは人の髪を洗うのが好きなんだよ。」
と笑顔でフォローに入る。俺ににてるくせに、なんだか、いいやつでさらにムカつくな。そういったハインリヒのそっくりさんはさっさと手に取ったシャンプーを自分の頭につけて泡立てているし。
「僕たちそっくりだなぁ。」
俺がためておいた湯船にちゃっかり入り込んで俺ににたやつがそういう。
「君のハインリヒもいるんだろ?やっぱり、この人にそっくり??」
にっこりわらってグザリとくることをいうやつだ。ハインリヒのそっくりさんが、一瞬身体を洗う手を止めたがまた何事もないように作業を続ける。
「俺のハインリヒ・・・いや、俺のほうのハインリヒと顔はにてるけど、全然にてない!!」
勢い込んで湯船のへりに手をかけ言い返した声が、必要以上に大きく響いて、俺に似たやつが目を丸くして、そして笑い出す。
「だってよ、ハインリヒ〜〜、全然似てないって・・・あははは〜〜〜〜。」
笑いツボに入ったのか、湯船の中でひっくりかえりそうになりながら俺に似たやつは笑い続ける。ハインリヒのそっくりさんはさっさと泡を流して・・・・・俺の背後に回った。油断してたわけじゃないけど、まさかハインリヒ(のそっくりさん)がそんな積極的なことするはずがないという思い込みもあった。
背後のそっくりさんは俺の背中にぴったりとはりついて、両手を前に回してくる。さっさとその気になれというように。
「ちょ、ちょっとまてーーーーー!」
身を翻そうとしてもがっちりと押さえこまれていて、湯船に手を突いたまま腰を絡めとられてしまった。 さんざん笑い倒した俺に似たやつが、笑い涙と水滴をぬぐいながら、口笛を小さく吹くき、また前みた表情のない笑顔で俺を覗き込む。自分に似た顔でそんな表情を作るな!と瞬く間に追い立てられて熱気がこもりはじめたからだを捩って唇を噛む。ストリート育ちの俺はしってる、あの顔は獲物を見る時の顔だ。俺は獲物じゃない!
「・・・ジェット。」
耳元でハインリヒのそっくりさんが俺の名前をささやいた。俺のしってるハインリヒと声の調子も、トーンも違うはずなのに、俺の身体は一気に高まる。前だけをいたぶっていた指先がぬるりと後ろに回る。同じ、機械でできた、容赦なく奪う指先が。
なのに、俺のハインリヒと違うのに、その指先に酔わされてつい、捩るはしたない俺の身体を目の前の俺ににた男は面白そうに眺めている。そうして湯船のなかでヤツは自分のものを片手で慰めはじめた。視線を俺・・・・・正確には俺をなぶる、背後の男・・・・に据え、開いた片手をまるで愛しい相手のように、うっとりと、唇で触れ、指で舐め、しゃぶり、目を細めて甘く噛む。ありえないけど、まるで誘っている自分の顔を鏡で見ているようで、とても見てられない。俺は仕方なく、湯船のふちにかけた自分の手の上に首を落とす。正直中途半端に立っていられる状態でもない。すると俺に似たやつが俺にちかよってきて、つっぷした、俺の耳の後ろを細く尖らせた舌で舐めた。ぞくぞくする。
「・・感じるところは一緒なのか?」 「そうなんじゃない?」
俺の上を会話が滑る。くわえ込まされた3本の指が抜けて、かわりのものがあてがわれた。抵抗することもできず、徐々にめり込んでくるソレに身を開放する。
「大丈夫大丈夫・・・うまいから。」
俺ににたヤツが、首筋を撫でて穏やかな声で声をかける。ハインリヒのそっくりさんは、ゆっくりと無言で俺に自分を飲み込ませた。全部がはいったなんて信じられない。ちらりとみただけだけど、かなり大きかったのに。俺は苦しくて、はっ、はっと短く息を吐いている。
いつの間にか、身体をぬぐわれ、ベッドの上にいた。 確か、あの後、一度イッたような気がする。ぐったりしている俺を二人はまたきれいにしてくれた。 それで湯辺りしたのか、そのまま、冷たいシーツの感触が気持ちよくて寝てしまっていたようだ。
ベッドのスプリングは先ほどから規則ただしく揺れてきしみ、荒い息遣いが聞こえてくる。
「う・・・、お前、しつこい・・・、まだ怒ってるのか?」
吐息にかすれた声の返答はどうやら身体に返されているらしい。いっそうベッドのゆれが激しくなった。懇願のかすれた声も意味不明の母音の羅列に成り代わり、俺はますます、目を開けられない。と、投げ出された右手が俺の後頭部にコツンとあたる。ハインリヒと同じ、機械の右手。どうやら騎乗位から背後位に体勢を変えたらしく、先ほど聞いた声と同じ人間が出しているとは思えないほど甘ったるく掠れた吐息まじりの声が耳朶を打つ。
もし、これが俺のハインリヒだったら。 そう一瞬おもったとたん、俺のものは臨戦状態まで成長し、きまりわるくてみじろぎした。
「・・ジェット、気がついたみたいだぜ、坊やが、あ、あ、ゥン。ウ。あ、あ、イク!」
あれほど喘いでいたはずなのに、そんな俺の状態に気がつくから、アンタ、俺にそっくりなヤツがまた怒るんだろう!さらに激しく腰を使われてまた、快感の淵に強制送還されたようだ。バカだなぁ。どうやらそのまま、ハインリヒのそっくりさんは意識を失ったらしい。俺ににたやつが、大事そうに身体をぬぐい、シーツにくるませてやっている。
「ヘイ、ボーヤ。」 「坊やって呼ぶな。」 「ジェット、帰りな。」 「いわれなくても帰るさ。」
俺は立ち上がった。少し、腰が重いけど、たいしたことはない。それなりにハインリヒのそっくりさんも気を使ってくれたようだ。
「・・・・・悪かったな。」
俺に似たやつがややもして謝罪の言葉を口にした。本来ならハインリヒのそっくりさんがいわなきゃいけないはずの台詞だ。
「・・・・・あんた、我慢はほどほどにしなよ。」 「仕方ない。」
あっさりと両手をひろげてあきらめたというゼスチャーをする俺に似たやつにちょっとだけ同情を覚えた。
「それから。」
俺に似たやつは言葉を続けた。
「ハインリヒとまだなんだろ、うまくいくといいな!応援してるよ、どこかでな。」
そのとおり。まだ手も握っていないとはいわないが、俺の気持ち、絶対伝わってない!!涙がこぼれそうになるぐらい、あいつは鈍いんだ。だけど、俺はがんばる。いつか。きっと。
俺はスニーカーの紐をむすび、振り返ると、俺ににたやつが、シーツにくるまっているハインリヒのそっくりさんのそばで座り込んで寝顔を飽きずにみている。扉を開けた音に気がつくと指を一本立てて唇にあて、ウインクを返してきた。そして、軽く手を振る。俺は一度頭を振って合図して、そのまま、眠っている人を起こさぬよう、そっと廊下にでた。
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